人事責任者がいない会社の役割分担。決める人・動く人・確かめる人をそろえる
社長、現場責任者、人事担当、外部支援の間で、判断する範囲と引き継ぐ記録をそろえると、兼任者の記憶だけに頼らず仕事を進められます。
1.「採用担当」の中にある、別々の仕事を分ける
「採用は総務に任せる」と決めても、人数、募集条件、面接、合否、入社準備をすべて総務担当が判断できるとは限りません。日程調整は進んでも、条件変更の承認待ちで止まることがあります。業務名ではなく、何を決めて何を実行するのかに分解します。
たとえば欠員対応なら、現場が必要な仕事と負荷を整理し、社長が採用枠と予算を判断し、人事担当が募集と連絡を進める形が考えられます。これは役職ごとの固定ルールではなく設計例です。すでに決裁規程がある会社では、その範囲と整合させます。
同じ人が複数の役割を兼ねても構いません。ただし「担当者が送ったから、条件も承認済みだろう」と推測しないよう、承認と送付の記録を分けます。最初は、最近止まった案件を三つ選んで整理すると着手しやすくなります。
2.四者の役割を、判断・実行・確認でそろえる
外部支援を入れる場合も、社内で情報を集める人と決める人が必要です。次の表をたたき台に、誰がどの範囲を担えるかを書き換えます。担当欄は「人事」「現場」で止めず、氏名と不在時の連絡先まで置きます。
| 役割 | 主に判断すること | 実行すること | 確認すること |
|---|---|---|---|
| 社長 | 人材投資の優先順位、予算、例外の承認 | 必要な決裁と社内への方針説明 | 事業計画との整合、実行に必要な体制 |
| 現場責任者 | 委ねられた範囲での仕事の分担と受け入れ方法 | 要件整理、面接、教育担当の配置 | 仕事内容の正確さ、受け入れ準備、現場の状況 |
| 人事担当・兼任担当 | 合意済みの手順内の日程・連絡・進行 | 情報収集、書類準備、連絡、期限管理 | 承認の有無、記録の不足、連絡漏れ |
| 外部支援 | 契約で定めた範囲の進め方と提案 | 論点整理、選択肢作成、合意した運用の支援 | 成果物と合意内容の一致、未解決事項 |
社長がすべての連絡文を確認する必要はありません。承認した募集条件の範囲での日程調整などは任せ、追加費用、条件変更、部門をまたぐ対応などを再判断の対象にします。境界を先に決めることで、決裁者にも必要な案件を届けやすくなります。
3.案件ごとの担当表には、完了の証拠を置く
役割表だけでは、今日の仕事の担当までは決まりません。案件一覧には、判断者、実行者、確認者、期限、完了を確かめる記録を置きます。「対応済み」の一言ではなく、次の人が見てわかる状態を定義します。
| 案件の例 | 判断者/実行者 | 確認者・タイミング | 残す記録 |
|---|---|---|---|
| 欠員一名の募集開始 | 社長/人事担当 | 現場責任者が公開前に仕事内容を確認 | 承認した採用枠・条件と求人原稿の版 |
| 入社日の受け入れ準備 | 現場責任者/教育担当・人事担当 | 現場責任者が入社前に準備状況を確認 | 初日の予定、教育担当、未完了項目 |
| 評価運用の問い合わせ整理 | 制度上の判断者/人事担当 | 判断者が回答前に内容を確認 | 質問、根拠、回答内容、説明先 |
| 外部支援への資料作成依頼 | 社内責任者/外部支援 | 社内責任者が合意した納期に確認 | 依頼範囲、必要資料、成果物、残った課題 |
表のタイミングは、運用時に実際の日付へ置き換えます。複数の実行者がいる案件は、取りまとめる人を一人決め、各人の作業に分けて期限を置きます。個別の評価など詳細な情報は閲覧範囲を限定した保管先に置き、共通の進行表には案件番号と状況を記載します。
4.担当者が迷う条件と、不在時の対応を決める
「何かあれば社長へ」では相談の時期がそろいません。合意した予算を超える、採用条件を変える、説明内容に食い違いがある、期日に間に合わない、といった条件を決めます。相談時には、現状、止まっている作業、選択肢、判断が必要な日を渡します。
判断者が不在なら誰に連絡するか、その人が代わりに決められる範囲も確認します。代理決裁ができない事項は、回答できる時期を関係者へ知らせます。担当者が独自に約束したり、連絡せずに待ち続けたりしない運用にします。
5.外部支援の成果物を、社内で使える記録にする
外部支援には「人事をお願いします」ではなく、どの案件を、どの成果物まで、誰と進めるかを依頼します。必要な情報を渡す担当、提案を判断する担当、決定後に運用する担当もセットにします。外部支援が資料を作っても、社内の決裁が済んだことにはなりません。
定例では進捗報告を読み上げるだけでなく、期限超過、判断待ち、担当不明の三点を確認します。手順を変えたときは理由と適用日を残し、引き継ぎ時に最新の資料と未完了案件を渡します。まず一つの業務で試し、重複した確認や担当の空白を直してから対象を広げます。
- 案件ごとに判断者・実行者・確認者が決まっているか。
- 担当者が決められる範囲と、再相談の条件が明確か。
- 期限と完了を確かめる記録を置いたか。
- 判断者が不在のときの連絡先を決めたか。
- 外部支援の成果物を受け取り、社内で運用する人がいるか。
この記事はCareerSyncの支援方針・実務上の考え方を整理したものです。個別の顧客事例や成果の報告ではありません。
